情報デザインからコミュニティーの構築を考える 情報デザイン国際会議・ビジョンプラス7 Tokyo, 1999, october 07 - 09 | |||||||||||||||||||||||
10 07 am | <コンセプト: 情報とストラテジー> モデレーター:坪田知己、日経新聞社、日本 | ||||||||||||||||||||||
「情報化社会」という言葉は、日本では1960年代から、広く使われるようになりました。はじめはテレビの発達への驚異でした。さらにコンピュータの発展、パソコンの普及で、だれもが実感として「情報化」を感じとるようになりました。そして、「モザイク」というブラウザが93年に登場し、無料配布されたことから、「情報化」の主役にインターネットが躍り出たのです。 ポール・ストラスマンという米ゼロックス社の幹部だった人は、人間が「狩猟社会」「農耕社会」「工業化社会」「情報化社会」へと文明を高度化するにつれ、一段階をステップアップするごとに、10倍づつ生産性を向上させてきた、と主張しています。 (ポール・ストラスマン著『インフォメーション・ペイオフ』、日経BP社刊より) 「工業化社会」から「情報化社会」への生産性の向上の核心は「知的生産性」です。 われわれは、日常的に「意思決定ループ」を回しながら生きています。就職や結婚も、仕事や日常の行動についても「課題の発見」「情報収集」「選択肢の絞り込み」「決断」「実行」というプロセスを通ります。さらに、そこでの行為を「評価」「再挑戦」するというループを描いています。そこで大事なことは、このループを「速く」「正確に」回した者が人生においても、ビジネスの上でも勝利者になれるのです。大事なことは、情報収集のための編集ツールや編集方法、議論をまとめていく編集ツールや編集方法があるかどうかです。 ここに「情報デザイン」の重要性があります。 情報をわかりやすく表現し、理解を正確にし、応用までの時間を短縮することは、生産性の向上に重大な成果をもたらします。私の会社である日本経済新聞社は、電子メディア事業に取り組むに当たって、コンテンツの理想は「適時・適量・最適表現」であると定義しました。ユーザーが望んだその時に、望ましい量(できれば短い方がいい)を、そのユーザーにとっての最適な表現でコンテンツ供給すべきだと考えたのです。 デジタル化によってアナログ時代は別々だったメディアが融合し、これまでにない表現や流通が可能になります。キーワードは「オンデマンド」「カスタマイズ」「シームレス」です。ネットワーク上にはパイパーテキスト型のドキュメントが多数蓄積され、知識は多面的に体系化され、我々はそれを携帯して歩くようになるでしょう。そうです、情報は環境を構成する大きな要素となるし、環境の中での情報がそう設計されなければならないのです。ユーザーひとりひとりへの「情報環境」をどう提供できるかを、コンピュータ・メーカー、家電メーカー、ソフトウェア会社が競い合うでしょうが、ポイントは「デザイン」です。 何をどう見せ、どういう情報を伝えられるか。そのアイデアの善し悪しがユーザーの評価の分かれ目になるでしょう。 そうした意味では、まだ我々は「赤ん坊」の技術とデザインの中で右往左往しているのが現状です。今回の会議が、以上のもっとも本質的な問題に対する解決の糸口を見つける出会いになることを期待しています。 | |||||||||||||||||||||||
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